デジタル化の進展に伴い、従来の物理的カジノに代替・補完される形で誕生したネットカジノ （いわゆるオンライン型賭博環境）は、エンターテインメント産業の新たな一形態として注目を集めている。特に日本国内においては、その法的整合性の曖昧さにもかかわらず、年々利用者層が拡大しており、社会的・経済的含意を無視することが難しい段階に入っている。

ネットカジノの構造的特性

ネットカジノとは、インターネット経由でアクセス可能な賭博プラットフォームを指し、スロット・テーブルゲーム・ライブディーラー型ゲームなど多様なインターフェースを備えている。利用者は主にデジタルデバイス（スマートフォン、タブレット、PC）を通じて非対面で賭博体験を享受する。決済手段もクレジットカード、電子ウォレット、仮想通貨など複数に対応しており、グローバルな金融連携を前提とした設計がなされている。

日本における法制度との摩擦

日本の刑法第185条及び186条では、賭博行為は原則として違法であるが、ネットカジノが海外ライセンスに基づき運営されている場合、利用者側の行為が「違法」とされるか否かは極めてグレーゾーンに位置している。この法的空白地帯により、多くのプレイヤーがリスクの所在を正確に認識せぬまま参入しているのが現状である。

同時に、政府によるIR（統合型リゾート）整備といった合法カジノ導入の議論が進行しており、それがオンライン領域に波及する可能性も議論の俎上に上っている。

消費者心理と依存のメカニズム

ネットカジノは、即時性・匿名性・報酬の偶発性という3点を兼ね備えており、心理的には極めて依存を喚起しやすい設計である。報酬系（ドーパミンシステム）を刺激するギャンブルの仕組みが、ユーザーの理性を徐々に麻痺させ、損失追求行動（ロス・チェイシング）を誘発する傾向が報告されている。